突然働けなくなった場合に備える「就業不能保険」とは?

万が一、病気やケガで長期間働けなくなってしまった場合、医療費などの支出が増加するだけでなく収入が減少するリスクもあります。

それでも毎月の生活費や子供の教育費、ローンの返済などは待ったなし。
短期間であれば預貯金で何とか対応できるかもしれませんが、長期間にわたってとなると心配ですよね。

今回ご紹介する「就業不能保険」は、そのような働けなくなってしまった事態に備えるための保険です。
「就業不能保険」とは何なのか、万が一に備えて必要なのかどうかなど、詳しく解説いたします。

就業不能保険とは…

就業不能保険は、その名の通り働けなくなってしまったときに支払われる保険です。
契約時に設定した給付金額が保険期間満了まで毎月支払われる仕組みになっています。

この就業不能保険は比較的新しいタイプの保険です。
というのもあり、平成30年度の生命保険に関する全国実態調査(※1)によると、亡くなったとき等に備えて生命保険に加入している人の割合は全体で8割を超えていますが、それに対して就業不能保険に加入している人の割合は1割程度と多くありません。
死亡保険や医療保険と比べると認知度はまだ低いといえるでしょう。

しかし、実際には病気やケガなどで亡くなる確率よりも長期間働けなくなる確率の方が高いとされています。(※2)

就業不能保険は、そのような長期間の収入減少によるリスクをカバーするために作られた保険です。

※1参考:平成30年度の生命保険に関する全国実態調査
※2参考:SBI生命

毎月いくら受け取れる?

就業不能保険から受け取る毎月の給付金額は、家族構成や自身のライフプランに合わせて選択可能です。

実際に設定できる、給付金額の選択肢は各社さまざまですが、給付月額の設定幅としては5万円から50万円までとなっています。

ただし、年収によって設定できる金額に上限がある保険会社もあるため、事前に確認しましょう。

受け取り方は?

給与と同じように月々受取るタイプが一般的ですが、保険会社によっては一括で受取る方法や、一部のみ一括で受取る方法を選択できる場合もあります。
給付金額も傷病手当金を受け取れる期間は少額で、それ以降は増額できるタイプもあります。

保険期間はいつまで?

就業不能保険は、現役で働いている間に病気やケガをして収入が減ったときのリスクに備える保険です。
そのため、保険期間は55歳から70歳までに設定している保険会社がほとんどです。

子供が独立するまで、住宅ローンを完済するまで、年金を受給開始するときまでなど、何歳まで保険をかけたいか、受取りたいかを考えて設定しましょう。

何歳までの人が加入できる?

基本的には18歳から60歳までの方が契約対象となっていますが、保険期間を何歳までに設定するかで多少変わってきます。

例えば、60歳満了タイプの場合、契約可能な年齢は20歳から50歳までですが、70歳満了タイプの場合は20歳から60歳までの方が対象となっています。

主婦(主夫)は加入できる?

意外と思われる方もいるかもしれませんが、加入できます。

家事を外での労働に置き換えた場合、月収換算でおよそ26万円になるといわれています。
直接収入を得ているわけではないため見えにくい部分ではありますが、家事ができなくなったときに家事代行サービスを利用したりと、出費が増える可能性があります。

実家から離れて暮らしているなど、周囲に手伝ってくれる人がいない人にとっては心強いですね。

就業不能保険はどんな時に支払われる?

では、具体的にどのような時に給付金が支払われるのでしょうか。

まず、就業不能状態の定義として以下のような状態を示しています。

  • 病気やケガの治療を目的として入院している状態
  • 病気やケガにより、医師の指示のもと自宅にて治療に専念している状態

上記に加え、障害者等級2級以上に認定された場合や要介護2以上の状態と認定された場合など、各社それぞれの定義があります。
逆をいうと、上記の理由に当てはまらない場合は支払われないということになります。

保険会社によっては、うつ病などの精神疾患も対象となるところもあるため、内容を比較しながら決めると良いでしょう。

支払い事例

男性52歳(受傷時)Aさんの場合 お受取り額合計80万円
Aさんは、交通事故で右足の大腿骨を含む複数箇所を骨折しました。救急搬送され、骨折箇所を固定するための手術を受けました。術後の経過が順調なことからリハビリテーション病棟に移り、機能の回復に専念しました。63日間継続して入院し、退院後も定期的に通院しながら自宅でリハビリを継続しました。幸い後遺症は残らず、今は、仕事にも復帰しています。
※個人の方のエピソードをもとに構成しており、治療などの条件はすべての方にあてはまるわけではありません。

男性50歳(発症時)Bさんの場合 お受取り額合計3,410万円
Bさんは、仕事中にくも膜下出血で倒れ、大学病院に救急搬送されました。幸いにも一命は取り留めたものの、180日間入院しました。退院後は、医師の指示にもとづき、自宅で在宅療養(*)をしていましたが、記憶にも障害が残り、発症して1年6カ月後には障害等級2級に認定されました。その後も、訪問看護サービスを利用しながら、在宅療養を継続しています。
(*)治療に専念し、自宅などからの外出が困難な状態(病院への通院など治療のために必要な外出を除く)
※個人の方のエピソードをもとに構成しており、治療などの条件はすべての方にあてはまるわけではありません。
引用:アフラック 給与サポート保険

公的保障だけでは足りない?

働けなくなった時の公的保障として「傷病手当金」「障害年金」があります。
この公的保障だけで生活をすることは可能なのでしょうか。

傷病手当金とは

社会保険加入の会社員の場合、業務外の病気やケガで仕事を欠勤した日から連続して3日間のあと、4日目以降最長1年6ヶ月までの欠勤した日に対して、給与の支払いがない場合に健康保険から傷病手当金が支給されます。

給付される手当金の金額は、基本的には給付開始日より前12カ月間の、各月の標準報酬月額を平均した金額の3分の2となります。
詳しい計算方法は、以下の通りです。
「標準報酬月額÷30×2/3」

例えば、毎月約30万円の給与を受け取っていた場合、支給を開始した日から最長で1年6カ月の間、約20万円の傷病手当金を受け取ることができます。

ただし、国民健康保険にはこの傷病手当金の制度はありません。
自営業者など社会保険未加入の場合、公的保障がないため、いきなり収入がゼロになるリスクがあります。

障害年金とは

障害年金は、病気やケガなどで障害が残り、生活や仕事が制限されてしまった場合に国から受け取ることのできるお金です。

傷病手当金が1年6カ月の間受給できるのに対し、障害年金は初診日から1年6カ月経過した日(1年6カ月前に治癒した場合は、その日)から支給されます。
年金といっても老齢年金と違い、現役世代でも受け取ることができます。
傷害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が請求できます。

家族構成や障害等級によって支給額は異なりますが、障害基礎年金の支給額は以下の通りとなります。

障害基礎年金配偶者のみ配偶者と子供1人配偶者と子供2人
障害等級1級年額97.5万円年額119.9万円年額142.4万円
傷害等級2級年額78.0万円年額100.4万円年額122.9万円

障害厚生年金は、上記の支給額にプラスして支給されます。
(給与額によってプラスされる金額が異なります)

現在の収入と比べてみていかがでしょうか。
短期間であれば何とか預貯金を取り崩しながら生活できるかもしれませんが、長期間となるとそうともいきませんよね。

つまり、公的保障だけでは十分足りるとはいえないでしょう。

ほかの保険との違いは?

就業不能保険と似ている保険に所得補償保険があります。

働けなくなった際の収入減少に備える保険という点は変わりがないのですが、提供している保険会社に違いがあります。

就業不能保険は生命保険会社、所得補償保険は損害保険会社が提供しています。

所得補償保険は、支払い対象期間が数年間と短期間のものが多いのが特徴です。
保険料は、年齢や職業によって異なり、ケガなどのリスクの高い職業に従事している場合は高く設定されています。
契約時の保険証券に記載された業務に従事できない場合に保険金が支払われるようになっており、保険金額は基本的に給与の平均額までを補償してくれます。

まだ子どもが小さいなど長期間の保障が必要な場合は、就業不能保険に加入するのが安心かと思います。

就業不能保険のメリット・デメリット

では、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのかをまとめてみました。

メリット1:長期間にわたり保障をしてくれる

例えば、医療保険の場合、保険金の支払われる日数の上限が決められています。
最近では、入院限度日数が60日の医療保険が多くなってきているようです。

就業不能保険では、基本的に働けない期間は満期までずっと給付金が支払われ続けます。
長期的なサポートが保障されている就業不能保険は、金銭面だけでなく精神的な面でもメリットがあるといえるでしょう。

メリット2:在宅療養も対象

近年、入院治療から在宅療養にシフトしていっていることもあり、入院日数が年々短くなってきています。
およそ90%以上の人が60日以内に退院しているといわれています。(※)

医療保険では、前述した通り入院限度日数があるだけでなく、退院して在宅療養に切り替えた場合も保障の対象となりません。
それに対して、就業不能保険は入院・在宅いずれの療養(医師の指示によるもの)も保障の対象となります。

※参考:https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/p037-079.pdf

デメリット1:支払い対象外期間がある

就業不能保険では、ほとんどの場合、支払い対象外となる期間が設定されています。
多くの場合は、働けなくなってから60日間と設定されています。
その間は給付金が受け取れないため、預貯金や医療保険などで対応する必要があります。

デメリット2:元の職場に復帰できなくても働ければ保障外

あくまでも「働けない状態」に給付されるため、在宅療養といっても医学的にみて自宅から外出できる状態や、軽作業などの作業ができる状態では保障外となります。
それまで従事していた仕事に復帰できるかできないか、の判断ではないため注意が必要です。

まとめ

就業不能保険は、万が一の際にはとても心強い保険となります。

公的保障があるとはいえ収入減少分を預貯金で対応しきれない、毎月の給与ギリギリで生活をしているという人の場合は、しっかりと対策を考えておく必要があります。

突然働けなくなった場合を想定し、自分にとって必要かどうか検討してみましょう。

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