ハルオサンと借金玉の雨やどり人生相談室@わたしの節約

相談1 なにもかも台無しになったとして

念願かなってインディーズの売文屋からメジャーデビューできそうになったタイミングで発達障害から適応障害不安障害と大連チャンが起こり全てがおじゃんになりました。何かが起こりそうになるといつもこうなのですがどうにか対策できないものでしょうか

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人生相談一発目から大変身に迫っております。つらい人生を生き抜く人生相談、始めていきましょう。

さて、自己紹介をさせていただきます。僕は借金玉と名乗っておりまして、サラリーマンがやれないなら起業しよう!というあれの果てに、事業は破綻。数千万円の損失発生、そのようにして借金玉となった人です。現在はどういった風向きなのかわかりませんが、こうして文章を書かせていただいてごはんを食べております。

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作画担当はハルオサン。
やはり人生の九十九折りを転げ落ちてきた大変に親しみの持てる経歴の方です。

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我々の人生を要約すると「くそみそ」と言ってしまっていいでしょう。おまえたちは今こうして仕事を得ているじゃないか?という向きもあるかもしれません。しかし、我々はわかっています。1年後に仕事があるとは限らないのです。一か月後だって、本当のことを言えば怪しいものです。

ある日突然ハリケーンみたいな鬱がやってきて、一歩も部屋から出られなくなる。僕の人生にもそういうことはよくありました。積み上げたものが突然おじゃんになる。何もかも台無しになる。とてもつらいことです。

評価発生ポイント、みたいなものがあります。1~10までの道のりの中で、例えば「本を書く」の場合は、出版社の企画が通る→原稿を書く→校正をする→出版される、みたいな流れがあります。いうまでもなく、原稿というのは頭からお尻まで書き上げないことには出版できません。この途中で止まった場合評価はゼロなのです。原稿を7割書き上げても評価はゼロ、とても悲しい話です。「出版社の企画会議を通過したが、本は出なかった」そういうのはあまり社会的評価にはなりません。

しかし、僕はこれに対して異議を唱えたい。というのも、人生というのは成功すればするほどハードルが上がっていきます。いうなれば、仕事とはかつて奇跡の一発だったものを日常的業務に変えていくものです。僕だって「お金をもらって文章を書く」なんてほんの1年前まで奇跡みたいな話でした。でも、今は書いた文章の結果に向かって胃をキリキリさせています。(面白いと、僕は思ったんですけれど…。ごめんなさい、次は頑張ります)

つまり何が言いたいか。完走したマラソンだけに価値があると考えているのはプロのランナーだけでいいのです。職業的に42.195キロを走らない皆さんは、「道半ば」も立派な価値と考えるべきなのです。「一回出来たことは二度出来る」これは重要な概念です。というか、二度やれないことは職業には出来ません。職業というのは「何度もやる」が前提なのですから。今日30キロ走れたのなら、次は31キロ走れる可能性はとても高いです。

そういうわけで、メジャーデビューがつぶれてしまったというのは大変気の毒なことです。僕の周囲でもいろんな事情で頻繁に起きていることでもあります。文章を書く人にも出版社の中の人にもさまざまな事情があることは知っているので、これはもう誰も責められない話ではあるのですが。とはいえ、人生においてそういうことはとてもよく起きます。残念ながら。

しかし、あなたは道半ばであれ惜しいところまで行った自分を褒めてあげるべきです。何故なら、次はもっと上手くやれるから。ここで「どうせだめだ」というあのループに落ち込むと、何もかもが無駄になってしまいます。自分の頑張りを適切に評価してあげられるのは自分しかいません。認めてあげましょう。そうすれば、次に挑む気力も出てくるはずです。借金玉さんは何度手痛い失敗をしたかわかりませんが、いつもこの魔法の呪文で切り抜けてきました。さぁ、リピートアフターミー。

「次はうまくやります!」

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相談2 図書館から魚を釣る

“私は、様々なことがあって、春から家賃や食費等の生活費をバイトで稼ぐのと並行して、受験勉強に勤しむことになった受験生です。だいたい月十万円での生活を考えていますが、私は自分1人で生活を営むという経験が一切ないので、本当にこの金額で健康で文化的な最低限度の生活をやっていけるのかが不安です。

そこでお二人に質問があるのですが、人は月約10万円で健康かつ文化的な日々を送ることができるのでしょうか。もしできるのであればやり方や節約のコツ、ライフハックなどを教えてください。よろしくお願いします。

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教養という言葉があります。おそらく、多くの人には大変に鼻もちならない、漢詩を諳んじられるとか、オペラに詳しいとか、そういうのを想像したのではないでしょうか。しかし、教養の本質とはまさしくこの「10万円で楽しく暮らす」なのです。月10万円で健康かつ文化的な生活が送れるか、という質問には「あなた次第」と答えるほかありません。しかし、月10万円で暮らす機会を得たのはとても良いことでしょう。

まず、基本的なお話。10万円で一か月を暮らすには、10万円で一か月を暮らすための生活をすればいいだけです。食費や交際費を絞り込む。金額ベースで言えば、達成は容易であるといえます。僕もハルオさんも、もう少し厳しい生活をけっこうしてきました。節約の技法はいろいろあります。食費を減らしたり、娯楽費を減らしたり、とにかく減らせば達成なんて本当に簡単です。玄米と塩とビタミン剤で1年くらいはもちます。

しかし、それでは人生があまりに苦しい。だから、節約は難しい。そういうことですよね。さて、この世で一番高くつくものとは何か。それは娯楽です。人間は「楽しい」にとてつもないお金をかけて生きています。教養とは、この「楽しい」をどれだけ安く手に入れるかの技法といえるでしょう。10万円で楽しく暮らすにはそこそこの教養が必要です。

例えば、考えてみてください。パチンコ、お酒。どちらも、とにかくすぐに楽しくなれます。その一方、お金はたくさんかかるでしょう。一方、自炊について考えてください。「料理を作るのが趣味、楽しい」という人は、実際少数派です。料理が楽しくなるためには、料理をやりこまなければいけません。これはたいていの趣味に言えることですが、エントリーコストというものは当然にかかります。レベルを上げなきゃ楽しくない、そういうやつです。

あなたが「お金をかけず心から楽しめる」ものを持っていて、更に月10万円の生活を楽しめることが一番大事です。もちろん、最初は大変でしょう。自分で作った料理のマズさにうんざりするかもしれません。節約は単なるストレスでしかないかもしれません。しかし、そこを頑張っていくと、ある時から楽しさが出てきます。「お金のかからない娯楽」も見つかってきます。探せば必ずあります。

「図書館は海に似ている」と友人が言っていました。魚の釣り方を知っている人は、そこからたくさんの楽しさや利益を引き出せるが、知らなければ海はただそこにあるだけなんです。教養とは、図書館から魚を釣る方法です。人生の楽しみ方そのものです。

お金がないという体験は悪くありません。僕もお金がなくても楽しめるものを、人生のある時期必死に探しました。それは今になってとても役立っています。そして、いつか必ずまたやってくるであろう、お金のない時期、働けない時期、人生のどん底…そういうものを耐え抜く原動力にもなると信じています。図書館から魚を釣り、海を読む。非常に抽象的ですが、そういうことが大事かなと思います。

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相談3 かちかち山を越えて

地方のDVなど問題を抱えた母子家庭貧困層出身で、進学で上京してフリーランスになった♀です。昔は最悪な日々から抜け出すためにがむしゃらに頑張ったのですが、この頃生半可に食べていけてしまい、このままだとダメだとは思うのですが、同じことの繰り返しのルーチンワークに陥ってしまいました。また成長するための起爆剤が欲しいです。なにかアドバイスいただけると嬉しいです。

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ああ!すごくわかります。僕も実に数年ぶりとなる家賃や食費を心配しなくていいという生活を送っているのですが、こういう人生のボーナスゾーンにいると、少しずつ少しずつ危機感やガムシャラさが抜けていくのを感じることがあります。自分は頑張れていない、やれていない…しかしここでのたのたしていたら、いつまた最悪な日々に落っこちるかわからない。そういうじりじりと背中を灼く不安感。大変わかります。

しかし、まず先にお伝えしたいのですが、ルーチンワークをこなせるってすごく立派なことです。少なくとも、僕にはまったくやれません。フリーランスになって、飛んでくる業務に振り回されずルーチンをこなせるのは、かなり練度が上がっているのだと思います。僕もコラム連載の担当者様から「もうちょっとルーチンにできないの?」という気配がいつもします。「コラムはアートです、ルーチンでは書けません」と言い張っていますが、業務的生産量が全く安定しないという自分の特性は本当に情けないところです。

思うにですが、成長というのは自己を認めるところから始まるのではないでしょうか。これは不思議なことですが、日本人(急激に主語が大きくなりました)って「努力」が好きですが、「達成」はあまり好きではありません。「ここまではできるようになった自分は立派だ」と自分で自分を承認してあげることを、少なくとも僕は誰にも習わなかった気がします。でも、「ルーチンワークをこなしてフリーランスとして生半可に食えている」これって素晴らしいことです。シャンパンのコルクを抜いたっていいくらい。

足を軽くするには荷物を下ろすことだと思います。「このままでは駄目だ」ではなく「現状は良好だ」に。「同じことの繰り返しだ」は「つつがない日常を構築することに成功した」に。さて、満を持して何をやろうか。もっと良い未来のために何が出来るか。そういう風に切り替えていくのが大事だと思います。

これは僕も含めてお尻に火をつけて走って来たみなさんに大変よくあることですが、お尻の火はある時爆発的な力を出すのにとても便利です。しかし、いつまでもそれを燃やし続けると全身を焼き尽くしてしまいます。人生のある時期がかちかち山なのは仕方がないにしても、少なくともつつがない日常を手に入れたなら、その背負った燃える薪は下ろしていい。あなたはお婆さんを汁にして食べたりはしていないのですから。

これは理想論ですが、未来については子供の頃の空想みたいに楽しく考えるべきです。僕のようなくたびれた中年も、できればそうしたい。そりゃあ、普通に考えれば未来にはつらいことが待ってるわけです。これまでも辛かったし、これからも辛いだろうというのは正直予想できる。でも、それはそうだとして善い未来を暗い気持ちで思い描くのってあまりよくありません。自分の成長を、手に入れたものを、頑張りをまず認めてやりましょう。その燃える荷物を下ろしましょう。

人生は本当に辛い。ずっとなにかに追われているような気がしています。時々は「なにか」に追いつかれて、ひどい目に遭わされたりすることもあります。でも、少しずつ「なにか」は小さくしていけると僕は信じています。「なにか」はすごく怖いですが、たまには振り返って「少なくとも僕はここまで頑張ったんだ、それは認めてくれよ」というと、スーっと縮んでいったりすることもある。

人生のかちかち山を越えたら、燃える薪や追ってくる「なにか」と和解を試みてみるのが大事です。ただ一つの問題は、追ってくる締め切りと和解するのは不可能だということです。フリーランス各位、そこは大事にしましょう。お互いに。なんとか。できる範囲で。

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相談4 トイアンナさんの婚活相談

「トイアンナです。恋愛コラムニストなのに結婚できません。今まで付き合ってきた男は【120万貢がせて5股】【隣人がうるさいからと隣家の鍵を鼻毛用ワックスで固める】【俺はマッキンゼーにけられたんじゃない!蹴ったんだ!と泣きながら花瓶を投げる】などパンチのある男ばかりです。見る目がないばかりではなく、私が彼らを増長させている気がしてなりません。実際に私にお会いいただいた過去もある借金玉さんですが、私はどんな相手と結婚したらいいと思いますか?」

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本日最後の相談となりました。恋愛コラムニストのトイアンナさんからパンチのある相談が寄せられています。僕もハルオサンも恋愛相談というものには比較的うといので、どう答えたものか大変に悩んだのですが…。例えば、こういう考え方はどうでしょうか。エキセントリックで個性のある(最大限言葉を選んでおります)男性を選ぶような指向性が、どこかしらトイアンナさんにはあるのではないかと。

例えば、僕はトイアンナさんとお酒を呑んだことがありますが、一般的な婚活中の女性は借金玉と名乗る得体のしれない中年男と酒を呑もうとは通常思わないのではないか。そこには、ある種のエキセントリックさやファニーさへの希求があるのではないか、という気がしなくもありません。つまり、まともで正常でとても良い意味で凡庸な男性というのは、トイアンナさんの視界から無意識に除外されている可能性があります。

トイアンナさんのご相談に、ふと既視感を感じました。僕の友人はエキセントリックな人生を生きて、きりもみ回転の末とても愉快なことに、あるいは途方もなく不愉快なことになった人が少なくありません。何故、僕の友人はこんな人間ばかりなのかとじっくり考えてみると、僕の中にどこか人並み外れたところ、悪く言えば異常なところのある人間に近寄りたがる性向があるような気がしています。

面白さと厄介さ、有意義さと面倒くささは大体比例の関係にあります。楽しいことを見つけたければ、人は長い旅をしなければいけません。ただ、長い旅が悪いものだとはいつも限らない。僕とハルオサンの長い長い道を歩くコンビが「一緒に長い旅を行きましょう、景色を見つつ」とエールを送る。

そういうのはだめでしょうか?

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(だめな気がする)

そこらを歩いている上から下までどこを見ても「まとも」な人を視界に入れる努力をするのも悪くはないですが、長い旅の末に手に入れたものは一番価値のあるものといえます。起伏がたくさんあるほど物語は豊かになる。人間は多少異常な方が面白い。我々も人生を転げ落ちては這い上がり、正常とは言い難い豊かな人生を生きております。トイアンナさんにおかれましては、これからも個性ある男性を選んでいって欲しいと心から思います。色んな人間がいていろんなことが起きる。それは仕方ない。次の愉快な人へ向かいましょう。

アップダウンのある日々をやっていきましょう。

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執筆者:借金玉
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借金玉

借金玉32歳です。診断はADHDでコンサータ72ミリを服用しながらなんとか生きている発達障害者。ASDの傾向も多分にあり。大学卒業後、金融機関勤めを経て起業の後大コケしたというキャリアです。現在は雇われ営業マンをやったりブログを書いたりツイッターを書いたり文章を書いたりしています。よろしくお願いします。
ブログ:発達障害就労日誌
ツイッター:@syakkin_dama

作画:ハルオサン
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ハルオサン

会社をクビになったのでヤケクソで書き始めたブログがこれ(警察官クビになってからブログ)です。結果、WEBや新聞や求人誌でコラムを書くようになりました。沖縄に移住して静かに隠居生活をしております。
ツイッター:@keikubi123

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